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音圧

Plugindoctorで遊ぶ: Vintage Warmer2...それでも俺はマキシマイザーを求めるのか

VintageWarmer2


かなり昔に自分が作った曲の迫力を出すことを模索している時に「音を大きくする本」に出会い、おそらく間違った解釈で突っ走った結果ますます音が貧弱になった苦い経験がある。
それは、↓で懺悔したが。

音を大きくする本 (Stylenote Nowbooks3)
永野 光浩
スタイルノート
2006-11-13



だから、この本に対しては不信感しかない。
そして今回話題にしようとしているVintageWarmer2はその著者が激推ししていたプラグインである。
今日までは、その苦い経験から VintageWarmer2を避けてきていた。
値段もそれなりにするし、、、というのもあった。

しかし、ここのところの黒金の散財の結果、VintageWarmer2のセール時の価格はそれほど高くもないかなという感覚になってきて、じゃぁ、せめて試用版だけでも試してみるか。。。と、この記事につながる。


まずは自分の音源にかけてみる。
次の3種類が連続で流れる。音量感は揃えた。
Bypass→VintageWarmer2オン→ちょっと強めにかけた

※選んだ音源が悪かったか、、、ちょっと違いが分かりづらいかな。

いわゆるマルチバンドコンプ+リミッター(マキシマイザ)的な働きをするプラグインなので、ゲインリダクションが上がれば飽和感も増して音にまとまりが出るような気がする。
強くかけすぎると音のパンチは損なわれておとなしくなった印象だけど、2番目の音源くらい適度にかければグッと締まった音になる気がする。

結論からすると、、、、結構使える!!!
次のセールで買おうかな…

少なくとも10年以上前から存在しているかなーり古いプラグインだけれどVST3にも対応してるし定期的にメンテナンスが入ってるみたいだし普通に売れ続けてる製品なのかな。
CPU負荷が高いというレビューもあるが、さすが古いプラグイン。今どきのPCなら全然気にならない負荷だった。
具体的にはPulsar MuのOverSampling無しの時より少し重いかな、くらい。
さらに、トラックに使用することが想定されているMicroWarmerはPulsar Muよりだいぶ軽い。


さて、そんなわけで、実際に使うとなったらどんな挙動なのかを目でも把握しておきたいからPlugindoctorで遊んでみた!!

ちょっとググると「Kneeを上げてDriveを下げる」というのが定番設定とあった。
そうすると、なるほど、ヌルっとコンプレッションがかかる感じになるのかな。
VM2_定番設定

では、Knee,Driveをそれぞれ別に動かすとどうなるのかな?というのを見てみる。

まずはDriveを上げて最終出力ゲインを少し下げると。。。
なるほど、リミッター的な挙動になる。
ここまでは予想通りと。
VW2_Limitter


Kneeを上げる。
スレッショルドより下の音量が持ち上がってどんどん飽和感が増していく。
なるほど。
VM2_Knee


Kneeを上げた状態でDriveを下げていくと、、、ヌルっとしたつぶれ具合いになっていく。
VM2_GainDown


というわけで、まずはGRメータを見つつ、KneeとDriveの上げ下げで良い感じのところを見つける感じかなー。
5dB以上潰すとちょっとつぶれすぎかなーって感じる。
ガツっと潰してMIXを下げてパラレルコンプ的な使い方も良いかもしれない。

あとGRが生じている時の倍音がなんか複雑に出てるなぁと。アナログ感マシマシなのかな?わからんけど。
VM2_倍音


VintageWarmer2のレビューはさすがにいっぱいあるけど、この記事のPlugindoctorの計測結果は自分のメモと誰かの参考になればなと。


あとは僕が参考にしたレビューの一部


VUメーターの手前でローカット(HPF)してみた

VUメーターの手前にHPFを通してみたら悲しい思いをした、、という話。
結論から言うとこの手法はしばらく実践してみようと思ったのだけど、その経緯を。

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先日、Wavesのゴールデンミックコンテストで、バンド編成の楽曲のミックスにチャレンジした。
これには1週間ちょっとかかって、その間は自分の曲を触らない状態だった。

一週間ぶりに自分の曲のセッションを開いて音を聴くと、、、あれ、なんだか僕の曲の音量小さいな…と感じた。
気のせいかと思って、コンテストの曲と自分の曲のラウドネスを揃えて聴き比べると、やっぱり自分の曲の方が音が小さく感じる。

なんでだろ。。。と悩んでていたとき、たまたまTwitterで「VUメータの前にHPFを通す」っていうTipsが流れているのを見たので何となく気分転換に試してみた。

StudioOneでは、1トラックの中で信号を分岐して、それぞれにプラグインを挿すことができるので↓のようにセッティングした。
信号を分岐させて、片方にHPF→VUメータ、そして、その音はミュート。
もう片方はマスターバスへ(実際に聴こえる音)。
VU_and_LowCut2



そして、自分の曲でみてみるとこんな感じ。
HPFがOFFの時は、0VUあたりまで針が振れてるんだけど、HPF(200Hzあたりからカット)を通すと -7VUあたりまでしか針が振れない。
つまり、4つ打ちテクノのキックがブンブンとVUメーターを動かしていただけで、音量感を感じさせるのに必要な帯域の音量が全然出ていなかったってこと…
VU_Low_CUT_ME


参考にしているトランス曲で同じことをやってみたのが↓
GIFだとわかりづらいけど、HPFを通しても-3VUくらいまで針が振れいてる。
自分の曲と4dB以上も差がある。
VU_Low_CUT_REF


改めて、この参考曲をスピーカーで流すと、メロディーに対するキックの音量感は、自分が頭のなかでイメージしていたよりもだいぶ小さい。
テクノな曲を作るにあたってキックを目立たせたいという思いと、スピーカーと僕の耳のしょぼさが相まって必要以上にキックの音量を上げすぎていたのだった。

コンテストの曲はボーカル&ギターの音量を中心にバランスをとったので、音量を感じやすい800-2kHzあたりが僕の曲よりも豊潤になり、より迫力があってリッチに聴こえたのだと思う。

●結論
スピーカーがしょぼいので低音の再生能力が低い、そして何より僕の耳が弱い

ということで、
・HPF+VU
・K-Meter(RMSメーター)

を併用してのミックスをしばらくやってみようと思った。

まずは、HPFを通したVUメータが目標の値まで触れるようなところでメロディー周辺のバランスをとって、キック、ベースがそれに合う音量で低域を支える感じでミックスしてみる。
このやり方が合ってるかはわからないけど、スペクトルアナライザーも見ながらやってても駄目だったんだから、新しい方法を試してみないと。


●ふとした疑問
今回のことから、僕のミックスは低域の音量が”無駄に”高すぎたことが分かったのだけど、、、、
これにL3-16とかのマルチバンドなマキシマイザーを掛けたら、各帯域が平らに均されるのかな。

以前はマキシマイザーをがっつりかけてたから、僕のようなバランスの悪い音源もなんとなーく四角い箱に平らに敷き詰められたようになっていたのかも。。。。

ということで、今度ためしてみます。

●おまけ

毎度ダサイ音源で恥ずかしいのですが…
この音源の前半と後半、HPFを使わない場合、VUメータは大体同じような振れ方をします。
※ちょっとわかりやすいように大げさに音量差をつけてますが。

後半は、キック、ベースの音量は変えずに、上物の音量を変えただけです。
全然バランスとってなくて更に聴きぐるしくなりますが、ウワモノの音量を大きく変えてもVUメータは同じような振れ方をする、、という例としてアップしてみました。

このことで、VUメータ、RMSメータは、反応速度を落とすと、キックの音量が大きい場合はウワモノの音量が小さくてもガンガン振れてしまうことが改めて分かった。
メーターに頼るだけじゃなく、自分の耳も鍛えろってことだと思うんだけど、、、
自信がない場合は、メーターの使い方も工夫の余地があるなぁということを感じた、、、という日記でした。

マキシマイザーを使うのをやめたら好きな音に近づいた…

DTMを始めてから音の迫力を増すには波形を大きくすればいいという思い込みでマキシマイザーを使いまくっていた。
でも、最近になって、マキシマイザーを使わないようにしてみたら作りたかった好きな音に近づけた気がする。

↓の前半は各トラック(キック、ベース、シンセ)にWavesL2、マスターにWavesL3を使った、以前までの作り方でミックスしたもの。刻み海苔波形(※参考:とーくばっく)
後半はマキシマイザを一切使ってない状態。
ラウドネスを揃えて並べてみた。
no_maximizer
後半の方が低域がすっきりしてキックの押し出し感とベースのブリブリ感がくっきりしているような、、、気がする。
スピーカーのボリュームを絞るとあんまり違いが分からないんだけど、言いかえると、マキシマイザを使わなくても遜色ない音になるということかな。

あと、この比較音源の前半は、マキシマイザを全く使わず作っていた音源にL2,L3を刺して無理やり「以前までの作り方風」を再現したもの。
以前は、各トラックのEQも、マキシマイザがかかった状態の音を聴きながら調整していたので、さらに歪んだ音作りになっていたと思う。

さて、各トラックにマキシマイザを突っ込みまくるという狂った作り方をしてしまっていたのは、DTMを始めたころ、音に迫力が出なくて悩んでいるときに出会った一冊の本を読んだのがきっかけだったかもしれない。

音を大きくする本 (Stylenote Nowbooks3)

この本に書かれていた各トラックの音作りの手順を要約すると。。
  1. EQ
    ローカット、不要な帯域カット
  2. リミッター
    波形の頭を0dBFSにそろえる
  3. コンプ
    Attack: 最小
    Release: 300ms(長め)
    Ratio: 30:1
    Threshold:-20dB
    というようなほぼリミッターみたいな設定
  4. リッター
    波形のピークを0dBFSに合わせる
「とにかく波形を大きく、太らせる」ことを指南しているように思う。

WavesのL2,L3に出会ってからは↓の手順でええやん!ってなって10数年を過ごすことになる…
  1. EQ
    ローカット、不要な帯域カット
  2. Waves L2
    波形を太らせつつ頭を0dBFSに揃える

この本に書かれている内容を僕が曲解してしまったのかもしれないけれど、誤った固定観念にとらわれる結果となってしまった。
  • 各トラック(チャンネル)のフェーダー前音量は0dbFS付近にする
  • 波形を潰して密度を高めて音圧アップ!
  • 海苔波形万歳!


この歪んだ固定観念から解放してもらえるきっかけとなったのが↓の2冊の書籍です。


海苔波形にすることの不毛さ、K-20(K-System)でミックスするということ、ラウドネスノーマライゼーションについての知識などを得て、まさに開眼したと言っても過言ではないくらい僕の価値観を変えてくれた。
全世界のDTMerにお勧めできる本です。

音圧アップのためのDTMミキシング入門講座! (DVD-ROM付)


こちらは「とーくばっく」を読む前は、正直ピンときてなかった。
でも、コンプの使い方とか、音の配置の仕方とかが今ではしっくり来てます。
「音を大きくする本」ではキックに「Attack:0」のコンプで20dBもリダクションすることを推奨していたのに対して、この「音圧アップのため〜」ではアタックを強調すること、Ratioの設定方針などについて詳しく説明していた。

教訓:コンプの説明でリダクション量じゃなくて、スレッショルド値で説明しているものは信用しちゃいけない
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キックのアタックをコンプでつぶしてしまっては、いくら音量を上げても楽曲の中で全然目立たないのは当たり前………「あたりまえ」をようやく今理解したところ。
10年早く気づいていたかった。

でも、これから10年、もっと音楽作りの趣味を楽しめそうな予感がしてきた。



ラウドネスを揃えてプロの楽曲と聞き比べると、やっぱりまだ自分の曲は迫力に欠ける……というのは悩み。
でも、ラウドネスノーマライゼーションという明確な指標ができたので、見た目の音量を上げるためだけのマキシマイザはもう使うことはないだろうな…というのが今の僕の状態。
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