だから囁くのさ

音楽の話とかとか


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ラウドネスノーマライゼーション

ラウドネスノーマライゼーションに対応したマスタリング手順

1年ちょっと前にも同じネタでちょっと書いたけど、当時はあんまり腑に落ちていなかった。
↓が以前の記事


その後、何曲か作るなかでようやく腹落ちしたので改めて書いておこうかと。
他の人が書いたり紹介している内容とカブる部分が多いと思うけど、僕なりの理解をメモするということで。

まず、以前は「TP -1.0dB -13LUFS」と書いたんだけど、僕はYoutubeにアップすることが多いから「TP -1.0dB -14LUFS」を最終出力にしようと最近思い直した。
この場合のミックス・マスタリングの手順をざっくりメモっておきます。

◎概要
ざっくりと以下の手順でやります。
※ラウドネスノーマライゼーションに関わらない点は割愛
  1. 思うがままにミックスする
  2. ラウドネス値を計測して-14LUFSになるようにボリュームを調節する
  3. TP-1.0dBFSを超えてしまった、クリップしてしまった場合はコンプ・リミッターで抑える


それぞれ、詳細を書いていきます

■思うがままにミックスする
マスターにコンプ・リミッター・マキシマイザーをかけずに思うがままにミックスする。
このとき K-20 メータを使って、最大音量が赤がつくかつかないかのあたりにするとほぼほぼ0dBFSを超えることはありません(クリップの心配はありません)
loudness_2mix


■ラウドネス値を計測して-14LUFSになるようにボリュームを調節する
出来上がった2Mixのラウドネス値とTruePeak(TP)を計測します。
K-20を使った場合、僕の場合はだいたい-20〜-18LUFSのあたりになることが多いです。
今回 -18.9 LUFS だったので -14LUFSにするためには 4.9dBボリュームを上げる必要があります。
しかしTPが -4.4dBだったので4.9dB上げると0.5dBオーバーするのでクリップしてしまう恐れがあります…
loudness_sokutei

そこで次の手順↓

■TP-1.0dBFSを超えてしまった、クリップしてしまった場合はコンプ・リミッターで抑える
波形のピークを抑えるためにいきなりリミッターを使うのではなく1〜2dB抑える程度ならRatio4:1くらいのコンプを掛けたほうがいい印象です。
ここ1年のなかで色々やった結果「コンプでピークを軽くつぶす → ボリューム上げ → TruePeakリミッター」の流れでうまくいってます。

↓のように1dB前後リダクションする設定で軽くコンプを掛けたところ、 -19.1LUFS, TP -5.5 となった。
-14LUFSにするために5.1dB上げる必要があるけど、TP-5.5dBだからクリップする心配はなさそうだと判断できる。
loudness_comp

というわけで↓のように「コンプ→ボリューム上げる→TPリミッター」を並べてみると、TPリミッターにはたまーに引っかかるという程度の -14LUFS、TP-1.0の音源が出来上がります。
loudness_finish


この結果の波形はこちら。波形で音の何がわかるんじゃい??ってツッコミ受けそうですが、、、
この-14LUFSの波形は、見た目にも痩せてるわけでもないし聴いた感じで音圧的なものが低いともあまり感じないし問題ないのでは?と思ってます。
※以前はこの後にマキシマイザーを突っ込んで波形をつぶして音を大きくした気になってましたが不要そうですね
loudness_master


さて、なんだかもっともらしく書きましたが、ここまで書いてきたことは実は↓の動画の受け売りです。
ただ、この1年で色々試してきた中で自分が持っているツール(DAW,プラグイン)でやり方を確立できて、その結果ラウドネスノーマライゼーションに対する理解が深まり腹落ちしたこともあって改めてここに記録として残そうと思った次第です。



ご意見や、そこ間違ってるぞ!みたいなことがあれば是非ご指摘いただければと思います。


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キックのピークを0dBFSにしてMix (海苔波形ができるまで)

DTMを始めて間もないころ(20年前)、自分の楽曲と市販CDの曲の音量差に愕然としていて悩んでいた。
市販CDの音源の方が音量が大きく聴こえる…
↓何が違うんだろうと、とあるトランスの曲をリッピングして波形を見てみた。
trance_ripping

思い出補正というか、自分の記憶ではリッピングした波形はめちゃくちゃ海苔波形だと思っていたんだけど、今あらためて見返してみると海苔波形ッてほどでもなかったな。
しかし当時の自分は次のように思った。
・なるほど!やっぱり4つ打ちのキックが波形的にも一番大きいんだな
・波形が0dBFSに張り付いてる状態にすると音が大きくなるんだな

そして、何を思ったか…次のようなプロセスで海苔波形的なものを目指してしまった。

キックのピークがマスターの0dBFSになるように合わせる。
キックのチャンネルにL2を挿して、キック自体のピークが0dBFSになるようにしたうえで、フェーダも0dBにする。
そうなるとキックをソロで再生したとき、当然マスターのピークも0dBFSになる。
この後、他のパートの音を足していくのでマスターにはL3を挿してクリップしないようにする。
※この時点で既に間違えていた
kick_0dBFS

●キックのフェーダは0dBにしたまま、他のパートの音量を調整する
funky_mix

うん、そりゃ当然クリップするわな…それをL3で押さえつけて見た目上はクリップしていない状態にしただけで。
その結果、見事な海苔波形が出来上がったのだった。
うんうん、キックも強くて爆音になったぞ…と。そんな風にして10年以上作り続けてしまった。アホや…
funky_nori




L3を外してみた結果を見てみると↓のようにものすごい勢いで波形を潰していたことが分かる。
常にリダクションメータが4〜6dB振れてる状態だったのだから当然だ…
funky_L3

こんなバカげたやり方をしている人は僕ぐらいだと思うけど、、、もしかしたら1000万人に1人くらいは同じ過ちをしてる人がいるかもしれないと思って、情報共有として恥をさらします。
これは完全に勘違いした間違った方法です。

※余談だけど、この記事のタイトルはエヴァのシンジくんのとあるセリフからインスピ

DTMerな一年でした

今年の最初のころにラウドネスノーマライゼーションといものを知ってからミックスについてや、海苔波形についていろいろ考えたり実験したりした一年だったなぁ。
頭でっかちDTMerとなって迷走した日々もあったけれど。

音を大きくするために、アタック0のコンプやマキシマイザーで波形をぶっ潰して海苔波形を作っていたところから、大きく方向性が変わったのは確か…
お恥ずかしい話だけど、コンプのアタックタイムを10msより大きな値で使用したことがなくって、それによって失われていた色々があったんだなぁ、、と気づかされ勉強になったり。
まだまだ全然使いこなせてないけど。

去年までの音源と比べると、マキシマイザーでつぶした時のような窮屈感は減ってるかなーと思ってるけど、どうかなぁ…
もっとすっきりした音にしたいとは思ってるけど。


それから、Wavesのプラグインばっかり使っていた去年と比べて、別のメーカーのプラグインを試すようになった。
Plugindoctorというアプリを知って、プラグインの特性を調べたりするのも楽しくなってきた日々だった。
今年、いろいろ試した結果「常に使う」ってぐらいまで手になじんできたプラグインを棚卸的に書いておこう。
  • Pulsar Mu
    主にバスコンプとして使うようになった。つねにどっかで使ってる、っていうくらい気に入ってる。
    WavesのSSL Busコンプも好きなんだけど、MuはサイトチェインにEQをかけれるのが使い勝手が良い。
    あと、ゲインリダクションゲージの針の振れとは別に、ちょびっと飛び出すピークを綺麗に違和感なく均してくれてる気がする。
    オーバーサンプリングも付いてる
  • Pro-Q3
    ほとんどのトラックに挿すくらい使ってる。
    とにかく操作性が良すぎる。EQポイントの個数が最初から決まってるわけではなく好きなように増やしたり削除したりできるのが良い。
    特にカット方面で音を補正したいときに使いやすい。
  • Radiator(LittleRadiator)
    アナログ感プラグイン。
    ちょっと負荷は高いんだけど、音を荒々しく汚したいって時に使いやすい。
    リバーブの前後どちらかに挿すといい感じに広がるようにも感じる。
  • True Iron
    アナログ感プラグイン
    めちゃくちゃ主観だけど音に「丸み」と「艶」を出してくれるような印象
  • bx_console 4000E
    WavesのSSL EChannelをよく使っていたんだけど最近乗り換え。
    TMT機能が良い。
    特にEQを使ったときにステレオトラックが絶妙に滲んで広がる印象がある。
    思い込みかもしれないけど、他のトラックとの馴染みが良くなったような…
    セールで29$とかになるタイミングが狙い目
  • FAT2
    これも最近になって導入した。
    レゾナンス付きフィルターとしてめちゃくちゃ優秀で使いやすい。
    値段も安いのでおすすめ!
    ↑の曲でもいくつかのトラックで使った。
  • COSMOS
    Nomad Factoryというメーカーを初めて認識した。
    低域のエンハンサーとして薄くかけるのが気に入ってる。
    あんまり大胆に使うと嘘っぽくなるから。
    セールでゲットしたけど、ここまで使用頻度高くなるとは思ってなかった。
  • BUTE Limiter
    TruePeakリミッターとしてWaves WLM Plus Loudness Meterを使っていたんだけど、Waves離れしたいなと思っていたところにちょうどセール情報を見かけたのでゲットした。
    マキシマイザ的な使い方はできない。
    1dB以内のリダクションで軽く頭を押さえる程度に使う。
    ラウドネス計測して最終的な音量を決めるときの最終段に挿すイメージ


Plugindoctorでいろんなプラグインを計測したり試用版を試したりしたけど、今年、新たに「よく使う」っていう状態になったプラグインはこんなところかな。
Wavesのプラグインもまだ結構使ってるけど、、、Wavesの適当なバンドルを数万円で買うくらいなら、FabFilterのプラグインと bx_consoleシリーズを揃えた方が良いよ!みたいな気持ちになりつつある。

さて、、なんかまとまりないけど、2020年のBlog(日記)はこんなところで終わりかな。
仕事と生活に急激な変化があって、趣味の時間がどんどん減ってるので、来年は書くネタあるかな…週一投稿のペースは維持したいけど難しいか…

では、よいお年を

マキシマイザーを使うのをやめたら好きな音に近づいた…

DTMを始めてから音の迫力を増すには波形を大きくすればいいという思い込みでマキシマイザーを使いまくっていた。
でも、最近になって、マキシマイザーを使わないようにしてみたら作りたかった好きな音に近づけた気がする。

↓の前半は各トラック(キック、ベース、シンセ)にWavesL2、マスターにWavesL3を使った、以前までの作り方でミックスしたもの。刻み海苔波形(※参考:とーくばっく)
後半はマキシマイザを一切使ってない状態。
ラウドネスを揃えて並べてみた。
no_maximizer
後半の方が低域がすっきりしてキックの押し出し感とベースのブリブリ感がくっきりしているような、、、気がする。
スピーカーのボリュームを絞るとあんまり違いが分からないんだけど、言いかえると、マキシマイザを使わなくても遜色ない音になるということかな。

あと、この比較音源の前半は、マキシマイザを全く使わず作っていた音源にL2,L3を刺して無理やり「以前までの作り方風」を再現したもの。
以前は、各トラックのEQも、マキシマイザがかかった状態の音を聴きながら調整していたので、さらに歪んだ音作りになっていたと思う。

さて、各トラックにマキシマイザを突っ込みまくるという狂った作り方をしてしまっていたのは、DTMを始めたころ、音に迫力が出なくて悩んでいるときに出会った一冊の本を読んだのがきっかけだったかもしれない。

音を大きくする本 (Stylenote Nowbooks3)

この本に書かれていた各トラックの音作りの手順を要約すると。。
  1. EQ
    ローカット、不要な帯域カット
  2. リミッター
    波形の頭を0dBFSにそろえる
  3. コンプ
    Attack: 最小
    Release: 300ms(長め)
    Ratio: 30:1
    Threshold:-20dB
    というようなほぼリミッターみたいな設定
  4. リッター
    波形のピークを0dBFSに合わせる
「とにかく波形を大きく、太らせる」ことを指南しているように思う。

WavesのL2,L3に出会ってからは↓の手順でええやん!ってなって10数年を過ごすことになる…
  1. EQ
    ローカット、不要な帯域カット
  2. Waves L2
    波形を太らせつつ頭を0dBFSに揃える

この本に書かれている内容を僕が曲解してしまったのかもしれないけれど、誤った固定観念にとらわれる結果となってしまった。
  • 各トラック(チャンネル)のフェーダー前音量は0dbFS付近にする
  • 波形を潰して密度を高めて音圧アップ!
  • 海苔波形万歳!


この歪んだ固定観念から解放してもらえるきっかけとなったのが↓の2冊の書籍です。


海苔波形にすることの不毛さ、K-20(K-System)でミックスするということ、ラウドネスノーマライゼーションについての知識などを得て、まさに開眼したと言っても過言ではないくらい僕の価値観を変えてくれた。
全世界のDTMerにお勧めできる本です。

音圧アップのためのDTMミキシング入門講座! (DVD-ROM付)


こちらは「とーくばっく」を読む前は、正直ピンときてなかった。
でも、コンプの使い方とか、音の配置の仕方とかが今ではしっくり来てます。
「音を大きくする本」ではキックに「Attack:0」のコンプで20dBもリダクションすることを推奨していたのに対して、この「音圧アップのため〜」ではアタックを強調すること、Ratioの設定方針などについて詳しく説明していた。

教訓:コンプの説明でリダクション量じゃなくて、スレッショルド値で説明しているものは信用しちゃいけない
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キックのアタックをコンプでつぶしてしまっては、いくら音量を上げても楽曲の中で全然目立たないのは当たり前………「あたりまえ」をようやく今理解したところ。
10年早く気づいていたかった。

でも、これから10年、もっと音楽作りの趣味を楽しめそうな予感がしてきた。



ラウドネスを揃えてプロの楽曲と聞き比べると、やっぱりまだ自分の曲は迫力に欠ける……というのは悩み。
でも、ラウドネスノーマライゼーションという明確な指標ができたので、見た目の音量を上げるためだけのマキシマイザはもう使うことはないだろうな…というのが今の僕の状態。

海苔波形はやめよう (自戒)

ここのところGyokimaeさんが発信する情報によって海苔波形の呪縛から解放されつつあって、マキシマイザを使わない生活を始めてから半年ほど経っている。

そんな今日この頃、昔作っていたようなハードトランスっぽい曲をミックスする機会があった。

試しに海苔波形にしてみよう!と↓のようなセッティングでパツパツのノリを作ってみた
2020-05-09_海苔セッティング

うん、昔作っていた曲のような音になった。
スピーカーの音量設定が同じであれば、当然マキシマイザをかけた方が音量が大きくなるので気持ちよくなったように思うのは人間の性。
2020-05-09_海苔の行く末

しかし、音量感をそろえると…こんなにも原音の凸凹間を平らに均してしまっていたんだなと気づく。
2020-05-09_海苔比較

そして、マキシマイザを使わなくなった自分には、マキシマイザを使った音がひどくノイジーに聴こえるようになっていた。

昔、知人に「ノイズ乗りまくりじゃん」って指摘されていたときは、その音が自分の中のデフォルトだったのでノイズを含んだ大きな音が音圧のあるかっこいい音だと思い込んで気づけなかったけれど、今思うと聴けたもんじゃない。

最近、動画サイトの音源で同じようなノイジーなものにたまに出会う。
昔の自分だったら「音圧の高いかっこいい曲だな」って思っていたのかもしれないけれど、今はノイズが気になってしまう。
そこに気づけるようになっただけでも少し成長かな…

うん、本当に海苔波形はやめよう。

※今回の音源は自分のものではないのでアップできないけれど。。。

DTMerのためのラウドネスノーマライゼーション対策 TP -1.0dB -13LUFS

(2021/04/30) 追加記事を書きました ラウドネスノーマライゼーションに対応したマスタリング手順
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最近ラウドネスノーマライゼーションについていろんな人の意見や情報を見聞きして自分はどうするかーと考えているところ。

結論としては TP -1.0dB, -13LUFSくらいで出力しようと決めた。

まず前提として、同人即売会で頒布するCD用と、ストリーム配信用に別々にマスターデータを作るのは面倒だな…という思いがある。
マスターデータを1種類にしようと考えて模索した結果が「TP -1.0dB, -13LUFS」である。

・TP -1.0dB
ちょっと前は、L3とかのリミッターの Out Ceilingを -0.1 〜 -0.3dBくらいにすれば良いという情報をもとにそのようにしていたんだけどTruePeakという概念を知り、TPリミッターを使うことにした。
ちなみにWavesの WLM Plus Loudness Meter を使ってる。


更新(2020/12/30)
今は、BUTE LIMITER2を使ってます




・-13LUFS
YouTubeやニコ動などのメジャーなサイトのラウドネス基準は -14〜-16LUFSとかだから、-13LUFSでアップすると音量を下げられてしまうので、最初から-16LUFSくらいで作ればいいのかとも考えたけど、CDに収録することを考えた時、もう少し収録レベルを上げたいなと思った。
ストリーム配信でまぁ、音量下げられても許容範囲かなと思ったのが -13LUFSだ。

↓のように無理なリミッティングをせずに TP -1.0dBにしたら、だいたい -13LUFSになったという感じ。
以前はL3でつぶしまくって音圧をあげたつもりになっていたけどラウドネスノーマライゼーションを通すと、結局ピークレベルが下がるということがわかったので、無駄なリミッターやマキシマイザは使わないようにしようと思った次第。

Loudness_13


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