0.はじめに
EDM、テクノを制作してて思うのは、キックがドスンと強く鳴ってるのが気持ちいい!ってこと。

だけど、曲を作っててなんかキックが埋もれて気持ちよく聴こえないってことありませんか?
キック単体で聴くと結構良い音してるのに全体を鳴らすとなんか埋もれて前に出てこない感じ…

DTMを始めたばかりのころはそれですごく悩みました。
まだまだ僕も勉強中ですが、割と良いキックが作れるようになったのでそのTips的なものを5つ紹介したいと思います。

次の音源は今回使うキックの音です。
これだけ聞くと結構いい感じだと思うんですが……


次の音源の前半は今回紹介するテクニックを使う前、後半はテクニック・処理を適用した状態です。
全体の音量感をそろえているのですが、後半の方がキックとベースがくっきり聴こえると思います。
前置き長くなりましたが、Tipsを紹介しながら使ってるプラグインも併せて載せていきますね。

1. サイドチェインダッキング
一番スタンダードで一番効く手法ですね。
要は「キックが鳴ってるときだけ他のパートの音量を下げる」ということです。
そうすることでキックがよく聴こえるようになります。
↓の画像のようにキックが鳴っているときだけコンプレッサーが作動するようにします。
01_Pulsar1178を使ってキックに合わせたダッキング


言われてみれば当たり前なんだけど、僕なりの工夫もあります。
キックの音にハイパスフィルターを通してからコンプレッサーに入れます。

そうすると、キックのアタックの瞬間だけコンプレッサーが強くかかるようになります。
図太いキックの場合、ハイパスフィルターを通さないと他のパートが必要以上に引っ込んでしまうことがあります。
なので、サイトチェインフィルタ付きのコンプを使うことをお勧めします。

僕が使用してるPulsar1178は見た目にもわかりやすいので気に入ってます
80_ダッキングに1178おすすめ


2. キックのレイヤー
これもよく聞く手法ですよね。
ただ実は結構難しい
下手にレイヤーすると元々のキックより音が細くなっちゃうってことが結構あります。

なので、今回は一番難易度が低いと思う手法を紹介!
「単発で聴いたら良い感じのキック」+「キックのアタックを補強する音」
この二つだけレイヤーします。

次の音源は最初の8拍が未処理の音、次の8拍はアタックを補強するためにレイヤーする音、最後に、レイヤーした後のキックの音です。
レイヤーする音はなんかスネアみたいな音ですよね。それがイイんです!
キックだけで聴いてると効果がわかりづらいけど、オケに混ぜた時にかなり効果を感じます。


ここで僕が使ってるのはD16のPunchBoxです。
次の画像のように、元となるキックの音を作りつつ、アタックを強めるためにレイヤーさせる音を3枚重ねることができます。
めちゃくちゃ便利ですYO!
02_キックのレイヤー_PunchBox


3. サチュレーション
これは2番目のTipsと似たような効果を与えるための処理です。
次の音源は、最初の8拍はTips2を施したキック、次の8拍がサチュレーション部分の音、そして最後が重ねた音になります。
キックだけで聴くとちょっと音割れした?みたいな印象になりますが、他のパートと混ぜるといい感じにアタック感が埋もれずに前に出てくるようになります。


使ってるプラグインはいろいろあるんだけど、よく使う組み合わせは…
歪みの量を細かく調整しやすいってのがメリットです。
03_キック+サチュレーション

他に挙げるとしたら「SSL Native X-Saturator」かなー

とにかく、広域のビリビリ感を足すと、オケに埋もれにくいアタック感が出せます。

4. 低域のモノラル化
4番目だけど、これ、めっちゃ大事!!!
ここまでの処理でいろいろ音や歪みをたしてるのでステレオイメージが広がってきてます。
ここで締めます!
Basslaneというお気に入りのフリーソフトがあります。
これは「指定周波数以下のステレオ幅を調整する」という目的で使います。
このプラグインを使って、だいたい200〜300Hz以下をモノラル化します。
04_低域のモノラル化_キック


次のキックの音源は、最初の16拍が処理前、次の16拍が処理後。
ちょっとわかりづらいかな?後半の方が締まった感じがすると思います。


次のようにベースにも同じ処理を加えます。


オケ全体でも、次のように200Hz以下がほぼモノラルになってると締まった音に聴こえます。
低域が締まってると、キックの「ドスン」って感じも強調されます。
04_低域のモノラル化_全体


5. ほかのパートのローカット
05_ほかのパートのローカット_モノラル化

これも結構効きます。低域のモノラル化もやります!
次の音源はキックとベースを抜いたものですが、前半はローカット前、後半はローカット後。


聴き比べてみるとわかりやすいんですが、キック、ベース以外の音でも、全部を合わせると結構低域があるんですよね。
ローカットしないままキック・ベースと混ぜると、、、そりゃ濁るよね…ってことです。

ローカットのやりすぎは音が細くなる原因にもつながるのでやりすぎには気を付ける必要はありますが。
ただ、ベースのブリっとした部分がちゃんと聞こえるように少なくとも150Hz以下は切っちゃってもいいんじゃないかと思います。
※あくまで図太い低域があることが前提の話です。


以上が現時点で僕の持てる知識の全てです。


最後に番外編ですが…
「キックの音を大きくした音源」vs「今回のTipsを適用した音源」を聴き比べてみます。


キックの音量をあげれば、そりゃキックが聴こえるようにありますよね。
でもオケが弱くなって全体としては迫力が落ちちゃうとおもんです。
好みもあるとは思うんですが、僕は後半の感じが好きです。

他の人のご意見やアドバイスもぜひお聞かせください!

サイドチェインコンプの説明については↓の動画がとても丁寧に解説してくれているのでチェック!